LINE DEVELOPER DAY 2020 で「エンジニアの成長を支えるOSSの価値と企業文化」というテーマでトークしました
LINE DEVELOPER DAY 2020 にお声がけ頂きまして、LINEの @joohounsong さん、メルペイの @jollyjoester さん、そして私 ZOZOテクノジーズの @sonots で「エンジニアの成長を支えるOSSの価値と企業文化」というテーマで2020/11/26にトークをしてきました。
以前会社の techblog にも書いた OSS ポリシーの件でお声がけ頂いた経緯になります。
- (1) 各企業のOSSの取り組みについて
- (2) 各企業のOSS文化について
- (3) 企業としてOSSに注目している理由
- (4) OSSプロジェクトへの期待
について3社(者)交えてお話させていただきました。
ZOZOテクノロジーズでは、「社員がOSS活動しやすいようにする」というのをゴールに掲げて、2020年4月にOSSポリシーを策定しました。詳しくは techblog の方にも書いていますが、弊社のOSSポリシーには、以下のような特徴があり、非常にOSS活動がしやすい環境になったと思ってます。
- 業務時間中であっても指示なく自発的に作ったソフトウェアは個人のものにできる(例えば.emacsや.vimrcなどを指していますが、それに限りません)
- 業務時間中に指示があって書いたソフトウェアでも著作権譲渡申請の許諾によって個人のものにできる
- 従業員が自己の所有するOSSプロダクトに対して自己が業務で作成した著作物を取り込む場合、著作権譲渡申請がなくても個人の著作物にできる
合わせて、社内的にはOSS公開ガイドライン、OSSコントリビューションガイドライン、OSS利用ガイドラインを用意して、OSS活動しやすいように下地づくりを行いました。
特に、OSS利用に関しては、ライセンス違反をすると、損害賠償請求、ソースコードの開示、刑事罰、レピュテーション(信頼)の低下、システムのクローズ、といった大きな問題につながりうるのでガイドラインを用意しておくことが大事です。これは外注したシステムについても同様であるため、技術職だけではなく企画職にも周知して、技術職の検品フローを組み込むなど対策する必要があります。このような注意事項について、まとめることができました。
文化としては、まだ策定したばかりというのもあり、これからOSS文化を根付かせていこうとしているフェーズです。GitHub 上に会社の org はありますが、弊社発信の著名なOSSがあるというわけではなく、まだまだコレからだと思っています。
他社(者)のOSSにコントリビューションするような事例は増えてきていて、例えば Treasure Data 社が公開している digdag というOSSに対しては弊社に7名のコントリビュータがいて、世界最多コントリビュータを抱える企業なのではないかと思っています。
また、OSSを自作して公開するようなメンバーも増えてきていて、例えば @trsnium は Kubernetes や Digdag の Operator を自作して公開していて、彼が「著作権譲渡申請」の適用第一号になっています。また、今年度新卒入社の takezyou 君は Ansible のコードを文法チェックする ansible-lint の GitHub Action を自作して公開しており、新卒メンバーからこういうOSS活動のアウトプットが出てきたのは、OSSポリシーを策定して本当に良かったと思えた事例でした。
企業としてOSS活動を奨励している理由としては、使わせて頂いているのだから還元すべきという業界貢献の側面と、技術アピールの側面があります。また、OSSは問題があった場合に自分たちでコードを読んで問題解決することができるので、サポートに問い合わせて返答を待つよりも、能動的に素早く問題解決できる可能性があります。もちろん技術力が必要になりますが、そういう問題解決の方法が取れる強い組織にしたいという想いを持っています。また、個人的にもOSSのコードを読んで技術力を高めてきたというのがあるので、弊社のメンバー達にも同じように技術力を積んでほしいという想いがあります。OSSは納期ドリブンではなく、クオリティファーストで活動しているものが多いので、綺麗でメンテナブルなコードとはどういうものなのかを学ぶ上ですごく勉強になります。
OSSポリシーは策定しましたが、企業文化として根付かせるにはまだまだコレからだと思っています。トップダウンとしては、OSS活動(や技術ブログ公開)を評価項目に盛り込む形で支援しており、ボトムアップとしては、OSS活動の実例を背中で見せながら、けしかけて行くことで広げていきたいと思います。